昨年発表された「たづがね角ゴシック」の、情報伝達力強化版(?)。サンプルのたづがねとの比較をご覧いただければ判る通り、情緒を省いてよりシンプルでソリッドな骨格になり、読みやすさ・伝わりやすさが強化されたように思われる。公共のサインはもちろん、食品の成分表示やスマホアプリなどにも適しているだろう。Monotype 社タイプディレクターの小林章さんは、ブログ等で常々日本の公共サインのヘンなところ(主に欧文ではあるけど)を指摘されており、それを解消するためのひとつの解を提示されたように思う。今からでは差し替えが間に合うかどうか分からないが、東京オリンピックに向け、どうかもっと分かりやすいサインが普及することを願う。10ウェイト。ただいま50%オフセール中。
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小林章さんの新作。DIN Next をベースにいろいろ遊んでみたディスプレイ。フィルがラフな Rust、Rust にセリフを付けた Rust Slab、ステンシルにした Rust Stencil、影をつけた Shadow の4種。それぞれ Bold、Heavy、Black の3ウェイトしかなく、字幅もレギュラーの一種類のみ。フィルをラフにしているせいだろう(細いとあまり意味がないので)。ラフさは一定ではなく、ウェイトが太くなるほどフィルが潰れていくようになっている。ただいま75%オフセール中。
はあ…負けた…惜しかった…。というワケでこちらを紹介…。ベルギーの、ベルギーの、ベルギーのおおお、高級チョコレートブランドのピエール・マルコリーニ Pierre Marcolini のロゴの書体がこちら。割と古くからあるカッパープレートゴシック。小文字がなくスモールキャップスだが、x-ハイトはあくまで小さく、幅広で字間も広めで品のあるエレガントな書体である。’70年代にアメリカの Gary Sackers という人がステーショナリー向けにデザインしたもの。他にも「Sackers」の名を冠するエレガントな書体がいくつかあるので、興味のある方はお探しを。そんなに数はないので、揃えておくと招待状などに重宝するかも。
去る1月2日、故 Hermann Zapf 夫人であり自身もタイプデザイナーでカリグラファーである Gudrun Zapf von Hesse さんが、なんと100歳の誕生日を迎えられたそうな(拍手!)。それに合わせ、Gudrun さんが70年前に本の装丁用に作成したレタリングが書体化された。Zapf さんの Optima に近いフレアセリフである。Optima よりは碑文感が弱く、オーガニックで伸びやかな雰囲気がある。今のところ1ウェイトで小文字もなくスモールキャップス。これからファミリーが増えるのを期待しよう。ちなみに本年一発目のこのブログ、今年もよろしくお願いいたしまする。
特に何の日でもないのでめずらしく古い書体を紹介。20世紀初期にアメリカで広く用いられたトランジショナルローマン。元は Century という雑誌のためにデザインされたもので、その後コントラストを弱めて読みやすくした Old Style、狭かった字幅を広めた Expanded、子供向けに字形を分かりやすくした Schoolbook などなどのファミリーが制作されている。Century は明朝体との相性が良かったため、日本語版の Windows にアップライトのレギュラーウェイトのみ搭載されており、最新版はどうか知らないが、以前は Microsoft Word のデフォルトフォントはMS明朝+Century であった。話題の『大人の科学マガジン 小さな活版印刷機』でも採用されている。ちなみにこの書体、一昔前に「これで英文の履歴書を書くとそれだけで落とされる」とかいう話が出回ったことがある。Windows にはイタリックや Bold がなく、Word でそれらの指定をすると機械的に変形されてしまって見苦しいからそんな話になったのだと思うが、それだけで落とす会社はまずないと思うので信じないように(笑)。そもそも履歴書って Regular だけでよくない?
本ブログでは初の和文書体の紹介。ついさっき Monotype から発表された同社初の和文書体(スペシャルサイトはこちら)。小林章さん、山田和寛さん、土井遼太さんらが携わって、Neue Frutiger に似合うようデザインされたそうな。新ゴなどとは違って伝統的な骨格をしており、縦組みでも十分長文が組めそうな雰囲気を持っている。10ウェイトあると説明にはあるが、この記事の投稿時点では9つしかない。どうも Thin が登録されてないようだが、ま、後で入ってくるだろう。しばらく待たれよ。ちなみに名前は漢字で書くと「田鶴が音」となり、「鶴の鳴き声」の事だそうな。
※1/25追記: ウェイト10種が揃った。
※1/26追記: 金額が修正された。ただいま半額セール中。
※1/30追記: 情報修正。
年2回発行されているタイポグラフィ専門誌の第8号。特集は「書体の選び方・組み方・見せ方」。巻頭インタビューは祖父江慎さんと寄藤文平さん。御二方とも装丁の分野で名を馳せる方々だ。書体選びは欧文は小林章さん、和文は竹下直幸さん。組み方は写植を長くやってきた方と、この雑誌そのものの組版担当のコン・トヨコさん(お元気ですか~)。オマケにタイプバンクとモリサワの書体見本と、Monotype の書体を使ったカレンダー・ポスター。これだけ付いてお値段据え置き!