本日はアメリカの作家で『ティファニーで朝食を Breakfast at Tiffany’s』の著者、トルーマン・カポーティ Truman Garcia Capote の誕生日(1924)。というわけでこちら。名前だけ同じなトゲトゲしいディスプレイローマン。何年にデザインされたのかはっきりしないが、版元の ITC の設立が1970年なので、書体としてはそこまで古いワケでもないだろう。Ronaldson と Caxton という書体をコンバインさせたと説明にはある。コントラストの強いトランジショナルスタイルで、セリフは結構鋭くトゲトゲしい。e のバーが斜めなのと、イタリックの f のテールが流れているのがクラシカル。4ウェイト。
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2015年にこのブログで P22 Marcel という書体を紹介した。この書体はあるフランス人男性が書いた手紙の筆致から起こしたものなのだが、フォント制作者のアメリカ人女性はこのフランス語の手紙の内容がどうしても知りたくなった。なぜならこれは、第二次大戦中にドイツからフランスへと送られたものだったからだ。その手紙が、なぜミネソタのアンティークショップで売られていたのか。この手紙を書いた男性は、受け取った人は、その後一体どうなったのか。この本は、それらを調べた顛末を記したものである。Amazon では200件以上ものレビューが付いており、かなり好評だったようである。
興味はあったものの、この本はいわゆるタイポグラフィ本ではないので、筆者の Amazon カートの「後で買う」リストに長年放置されていた。しかしたまたま最近覗いてみたところ、データのミスなのかなんなのかなんと「393円」となっており、しかも残り1冊だったので「まあ買うか」とポチっていま筆者の手元にある。小口がアンカットでクラシックな雰囲気があってよい。ただ筆者は英語が大して読めない。この Marcel 氏の運命を知ることができるのがいつになるかは知る由もない。ひょっとしたらそのまま古書店へ流れる可能性もある。そしてたまたま手に取った人が興味を持つ事になれば、それもまたおもしろいだろう(そうか?)。
ちなみに本日7月14日はパリ祭(フランス建国記念日)だそうである。そんな日に届いた事にちょっと縁を感じる。
本日はかのサグラダ・ファミリアの設計者アントニオ・ガウディAntonio Gaudí y Cornet の誕生日(1852)。というわけでバルセロナの名を持つ書体を紹介。モダンスクリプトとモダンローマンのデュオ。スクリプトの方はサイズにバラつきがありベースラインもバウンシーで暴れているが、ループが丸く大きく、それほど乱暴な感じは見られない。傾きはアップライトと傾いた Italic の2種。ローマンの方は字幅が広くカウンターも大きめでちょっとコロッとしていてやや可愛らしい。どちらも1ウェイト。
コントラストが強く、ややオーガニック風味のあるモダンローマン。ヘアラインがかなり細い書体で、そのため軽いウェイトでも結構コントラストが強め。小文字のステムのフット部分がすっと流れていたり、e のアイに少し手書きっぽいカーブが入っていたりと、ちょっと柔らかいエレメントが入っているのが特徴的。a と g には1階建てと2階建てがあり、N と n にのみほんのちょっとしたスワッシュの付いたオルタネートがある。xハイトがかなり大きく、そのためエレガントな雰囲気はないが、なんとなくゴージャス感はあるかなという感じ。7ウェイト。字種を制限した Semi Bold のデモ版が無料でダウンロードできる。
奇をてらったところがない、正統派のフラクトゥール(Fraktur: ドイツでよく用いられていたブラックレターの一種)。15世紀ドイツのカリグラファー、Johann Neudörffer(ぜひリンク先をご覧あれ)と Leonhard Wagner の書体を参考にしたとある。大変真面目な感じのするフォントで、すごくかっちりしていてカッコいい。スワッシュオルタネートはあるが、それでさえ遊んでいる感じは薄く、作者はマジメなんだろうなぁと思う(笑)。普通にカリグラフィーの手本になる素晴らしい出来。1ウェイト。
ハイコントラストなモダンローマン。1912年頃の ATF (American Type Founders) の書体、MacFarland を参考にしたとある。オプティカルになっており、ノーマルと見出し用の Display とがあって Display の方がよりコントラストが強くはあるが、ノーマルからして結構強めで、xハイトは大きいものの、ちょーっと長文には向いてないと思う。モダンでラグジュアリー感もあるので、やはり名前の通りファッション業界の広告向けだろうか。ノーマルと Display、それぞれに5ウェイトずつ。ただいま80%オフセール中。
先頃より MyFonts が Fall into Fonts と称して秋のセールを行っている(なぜだろう…)。その中からひとつを紹介。ゆるゆるなモダンスクリプト。グリフの丸っこいかわいらしいタイプで、ベースラインも揃わずバウンシー。大文字にはオルタネートはないが小文字にはビギニング/ターミナルスワッシュがあり、その先にはハートが付いている(笑)。あとリガチャーも少々あり。アップライトと少し傾いた Italic もあり。それぞれ1ウェイトずつ。ただいま50%オフセール中で1書体500円ほど。
たいへん変わったジオメトリックサンセリフ。古いカリグラフィー書体であるアンシャル風味を取り入れた Uncial と、それプラス Paul Renner が Futura 制作初期に幾何学的にしすぎて字としては破綻してしまった(笑)デザインを取り入れた Architype の2種がある。アンシャル風味は a, d, e, g, t, y, z などに見られ、アーキタイプ(原型)は M, N, m, n, r などに見られる。現代的なようで古典的にも見える不思議な雰囲気の書体である。長文は正直苦しいが、1段落程度の短文なら耐えられるだろうか。双方9ウェイトあるほか、バリアブルなタイプも用意されている。ちなみに architype は archetype のスペルミス(わざとかも知れないが)。ただいま85%オフセール中。
本日終了の Type through the Eras セールより紹介する最後。割と有名なトランジショナルローマン。20世紀中頃にアメリカで制作されたもので、人によってはモダンローマンに分類するかもしれないぐらいにそっち寄り。本文用として設計されており、コントラストは強いものの、結構読みやすい。手持ちの書籍でこれで組まれたものがあり、なかなかエレガントでいいなと思った。かくんと折れ曲がった f がなかなか特徴的である。本文用と見出し用の Display があり、それぞれイタリック(Cursive と呼称)もあって2ウェイトずつ。
本日も終了間近の Type through the Eras キャンペーンから。アール・ヌーヴォー風味のあるディスプレイ。基本はコンデンスでウェイトの軽いセリフドゴシックで、所々植物的なニュアンスのにゅよっとした曲線で構成されている。普通?のグリフの Standard と、スワッシュオルタネート的なグリフの Royal があり、基本はこれらを組み合わせて使うようになっている。サンプルのように往時の雰囲気そのままを再現するのは知識がないとなかなか難しいが、まぁあんまり気にしないで好きに使えばいいと思う。1ウェイト。