グラフィックデザインについて

アートディレクター(AD)とは

アートディレクター(Art Director)とは、ビジュアルに関するすべての責任を負う立場の人間の事を指します。通常ADと略します。普通ADと聞くとテレビ番組のアシスタント・ディレクター、ペーペーの使いっ走り(ADの人スミマセン)を思い浮かべるかと思いますが、デザイン・広告業界でADと言えば尊敬を集める責任ある立場にあります。

ADでもデザインを行う事はありますが、純粋に「アートディレクション」と言った場合、自分では何も作りません。しかし出来上がったポスターなりなんなりは、そのADの作品となります。

おかしいと思うでしょう。では、映画監督を思い浮かべて下さい。ビートたけしのように脚本を書いたり主演を演じたりする監督もいますが、純粋に監督業だけを考えた場合、監督は何も作りません。脚本も書かないし、演技もしません。カメラも回さないし、セットや小物、衣装も作りません。もちろん音楽だって作らないしましてや演奏などもしません。でも出来上がった映画は、間違いなくその監督の作品となります。つまり映画監督は、俳優とスタッフを「自分が目指す完成形に向かって動かす」のが仕事となります。俳優もスタッフも、監督がいなければ好き勝手に動いてしまい、一つの作品を作り上げることなど到底できないのです。

デザインにもこれと同じ事が言えます。ADは最終的なビジュアルを決定し、カメラマン(またはフォトグラファーまたは写真家。人によっては呼称にこだわるので面倒です・笑)やイラストレーターに画を作らせ、それとコピーライターの書いたコピーをデザイナーに渡し、目指す形にレイアウトさせるのが仕事となります。ADによっては数名抱えているデザイナーに案出しまでさせ、その中からピックアップ・ブラッシュアップして仕上げる人もいますが、それでもやはり最終的にはADの作品と呼べるでしょう。その場合、デザイナーの名もクレジットされるのが普通ですが、察しの通りデザイナーにはそれなりの力量が必要なります。

ADになるには、数年グラフィックデザイナーとして経験を積み、ステップアップするのが普通です。管理職と勘違いされる方もいますが、デザイナーとしての経験なしにはほとんどムリです。

ADなんか置かずに自分でデザインすればいいじゃん、なんでこんなめんどくさい制度を採っているの? と思う方もいらっしゃるでしょう。しかしポスター一枚ならいざしらず、大量にデザインしなくてならないものがある場合、デザイナー一人ではとても対応しきれません。大量のページがある雑誌や大規模なCI開発などの場合、全体を統括するADを一人置き、その下に複数のデザイナーを置いてイメージのコントロールをしていきます。ADなしでデザイナーに個々にデザインさせると、雑誌はページごとに、CIもツールごとにデザインテイストがバラバラ、なんて事態に陥ってしまいます。それはやはり、避けなくてはなりません。また、大手広告代理店の電通には、デザイナーという肩書きの人はいないそうで、新人でも最初からADとして動くことを求められます。なぜかというと、クライアントがあまりにも多様なので、一人の人間が持つテイストでは対応できる範囲が限られてくるからです。それよりは、案件ごとに外部の最適なデザイナーを起用し、それをディレクションする方がずっといいものができる、という判断です。

ディレクターには「監督」、ディレクションには「監督する」という意味があります。映画監督もADも、その仕事の内容はかなり違いますが、役割としては一緒なんですよね。

佐藤可士和のクリエイティブシンキング
佐藤可士和のクリエイティブシンキング

アートディレクターと言えばこの人。世に「アートディレクター」という職業があることを知らしめた人でもあります。その発想力を学べる書。

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