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左利きの人がカリグラフィーを書く方法

洋の東西を問わず、文字の書き方は基本的に右利き用にできています。これは一説には全人類の9割近くが右利きであるという事によるものですが、少数派とはいえ当然ながら左利きの人がいます。彼らだってカリグラフィーに興味を持ったりすることはあるでしょう。ですが、筆や鉛筆などと違い、カリグラフィーはペンからして右利き用に作られており、そのままではかなり書きづらくなっています。

しかしご安心ください。人間には創意工夫をする頭脳というものが備わっており、左利きの人がカリグラフィーをする方法ももちろん存在します。以下『カリグラフィー教室』(グラフィック社)という書籍から引用します。この本の著者の一人、ゲイナー・ゴフ Gaynor Goffe は左利きで有名な英国の女性カリグラファーです。

左利き用のニブ(ペン先)

とりあえず、左利き用のニブを用意しましょう。左利き用は図のようにペン先がやや右上がりになっています。スピードボール、ブラウゼ、ミッチェルが左利き用を用意しています。

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アンダーアームポジション

まずはこの方法。通常文字の右側に置く手を、文字の下側に持ってきます。写真では手首の所で切れてるので判りませんが、結構手首を左に曲げており、なかなかシンドイと思われます。通常は身体の正面で書くよう紙を置きますが、これは正面よりやや左にずらした方が書きやすいと思います。

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フックポジション

文字の上側から、何かを抱えるように腕と手首を曲げて強引にペンを文字の右側に持ってくる方法です。これまたなかなかツラいものがあるかと思います。紙をやや右上がりに斜めにした方が書きやすいでしょう。

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ヴァーティカルポジション

紙を90度右へ回して垂直(vertical)にし、ストロークを右→左、下→上にする方法です。この場合、ニブは通常タイプの方がいいでしょう。一応書き順的には右利きと同じになりますが、当然ながら出来上がりは90度回転した形になるので、仕上がり具合の確認がちょっとめんどくさいです。

ただでさえ訓練を要するカリグラフィーなのに、左利きの人はハンディキャップが大きいですが、これでなんとか楽しんでいただければと思います。


カッパープレートまたはモダンカリグラフィー(モダンスクリプト)の場合

2021年発行の以下の書籍で紹介されていた方法を引用します(クリックすると書籍の販売サイトへジャンプします)。

Veiko Kespersaks
"Flourish: An Introduction to Historical Copperplate and Modern Calligraphy"
同書 p.178 より引用

これを見ると、通常のオブリークホルダーよりストレートホルダーを使う方が特に特殊なことをせずとも書けそうです。上から3番目、オブリークホルダーを使って通常とは逆の位置にペン先を付ける方法もあるようですが、これは取付部がスピードボール製のように円状になっていないとできません。

4番目の「オーバーアーム」の方法は、ポジション的には先に紹介したフックポジションと同じで、書き順は通常とは逆のようです。結構特殊なので、あまりオススメはしません。

Writing Over Arm の実際の書き順

カフェラテおごってください。