たまーに「沖縄+家紋」とかで検索されてここに来る人がいるようなので、私の知っている限りをここに記す。以下、多分沖縄の家紋について書かれた唯一の書籍である『琉球紋章I』(本 恵郷著,琉球紋章館. 1992年)を参考にしている(※8/12追記:他にも文献がある模様。詳細はこちらへ )。

琉球紋章I(本 恵郷著,琉球紋章館. 1992年)

基本、沖縄の家々に家紋はない。

これ言うと結構びっくりされるが、沖縄ではごく一部を除き、家紋を持っている家はない。もちろん我が宮里家にもない。なので紋付袴なども存在しない。

なぜかというと、沖縄は知っての通り古くは「琉球」と呼ばれた独立国家であり、日本とは別の国だった。つまり日本から見てここは「外国」であり、日本の習慣である家紋なども元々存在しなかったからである。琉球は14世紀以降は当時の明や清(今の中国)の皇帝より冊封を受け、主従(?)関係を築いていたが、1609年に薩摩の侵略を受け、そこの属国のような関係にもなった。以降、薩摩は琉球からも税を取っていたが、薩摩はこの事を中国にひた隠しにし、そのため日本文化が琉球に広まるのを嫌い、これを禁止した。それが家紋が広まるのを防いだようだ。

で、家紋を持っていた「ごく一部」の人達とは誰のことかというと、旧琉球王家やその士族達である。薩摩藩士と直接付き合いのあった彼らは、その真似をして家紋を持つようになったようだ。なので沖縄で代々伝わっている家紋があるよという人は、結構いい家柄が多いと思われる。

一番有名なのは旧琉球王家・尚(しょう)家の「左三つ巴」である。これは日本でもごく一般的(主に寺社に多いようだが)なもので、それをそのまま使用している。

尚家紋章

しかし、それ以外の士族の家紋は非常に変わっており、日本本土ではまず見られないデザインが多数ある。もちろん専門の職人などはいなかったので、薩摩藩士の着物にあった紋をうろ覚えして参考にし、独自にデザインしていったようである。もう元が何だったのかよく判らない(笑)ものも多数ある。以下に参考書よりいくつか引用する。確か宮城保武さんは、これらの一覧をポスターにしてなかったかな...。ちょっとうろ覚え。

琉球の家紋(一部)

ちなみにこの紋章の習慣は、日本とヨーロッパにしか存在しない。同じく古い文化を持つ、中国やインド、中東ではなぜか発生しなかったようだ。なぜこんな便利なものを用いなかったのか、結構不思議である。

あと参考書の『琉球紋章I』だが、タイトルに 1 とあるからには 2 や 3 があるかと期待される方も多いと思うが、私が知る限り続編が発行されたという気配はない。残念である。この本は沖縄の古書店なら比較的楽に入手可能だと思う。相場は4,000円ぐらいかな。県内の図書館にもあるだろう(県立図書館では確認済み)。興味があればどうぞ。

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