『弘法にも筆の誤り』というぐらいで名人にさえ書き損じは生じるのだから、いわんや凡人である我々ならば日常茶飯事である。しかし長文を書いていて後半にミスったりした時の絶望感たるや、まさに筆舌に尽くしがたい。履歴書を書いててミスると、就職を諦めようかとさえ思う(くじけるなよ)。

カリグラフィーも書き損じたら基本的には書き直し。脱字なら、行間に余裕があれば、行をはみ出して小さくちょろっと書いたりする処理方法もありはするが、これはバランスの問題で、「そうしてもおかしくない」場合のみのやり方である。目立つようなら、やっぱり書き直さねばならない。

しかし、地色を敷いていない場合に限り、紙の表面を削って字を消すやり方もある。私がまず試したのは、普通のカッターでガリガリ削るやり方。これは紙が毛羽立ち非常に汚くなる上、ここに新たに字を書くのは困難な状態になるのでお勧めしない。

次に試したのがモノの本にあった以下の方法。写真のようにカミソリの刃をU字形につまみ、そのU字の底の部分でちょっとずつ削るやり方である。しかしこの方法は、速攻で紙を貫通し穴が開いた(笑)。かなり熟練しないと薄皮一枚を削るのはムリなようだ。

で、決定的でしかも簡単なやり方を最近知ったので紹介する。アイルランドのカリグラファー、Denis Brownさんが教材DVD『Italic Rhythm to Plythythmic Calligraphy』で紹介していたやり方である。

まず、半月形の刃を持ったカッターを用意する。半月形というのがミソ。普通の直刃のカッターでは不可能なので注意。DVDでは海外製(当たり前か)のものを使用していたが、日本では以下のものが入手しやすい。

これを刃を寝かせ、シャッシャとラフに誤字を削る。結構いい加減でも大丈夫。そんなに深くは削ることはない。

あらかた消えたら、砂消しゴムでもってその部分をこする。これで毛羽立ちが結構取れる。

最後に、適当なスプーンのウラでゴリゴリ撫でる。これで紙が均され、まぁまぁ字が書ける状態になる。

あくまで地色を塗っていない場合のみの処理方法だが、知っていれば何かと役に立つだろう。

Millar
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