結論から言うと、本人次第(笑)。

なんかちょいちょい「カリグラフィー+独学」で検索がかかっているので申し上げる。カリグラフィーに限らずおよそすべての技芸に通ずるが、独学できるかどうかは本人が「やる」かどうか、それ「だけ」にかかっていると言っても過言ではない。本当にそれだけの話である。今は探しやすい情報源がものすごくあるので、以前に比べれば独学天国である。こんなにやりやすくなった時代もない。

で、次に多い質問が「独学ってどうやるんですか?」なのだが。

答えは「人に聞かない事」である。

「どうやればいいですか」って聞いてる時点で正直言うともう向いてない。その方法を自ら編み出す所から始めるのが独学であり、それができないのであれば、素直に学校や教室へ通うなり、メンターを探して弟子入りするなりした方がいい。

ちなみに通信教育は独学とほとんど大差ない。私は1年ほどやった事があるが、教材がまとめて入手できるという程度で、1、2ヶ月に1回程度の作品添削では、残念ながら大した情報は得られない。また「○○の通信教育どうですか?」と人に聞いてもあまり参考にはならない。これも人によって合う・合わないがあるので。それもやってみなければ判らないが、その出費をさえケチりたいとかいうのであれば、学習そのものを諦めた方がいいだろう。何かをマスターするには、無駄な投資もたくさんせねばならない。その覚悟も必要である。

とにかく独学には「鉄の意志」が必要である。教室へ通えば自動的に学習時間が発生するが、自分でその時間を設けて学習(or 訓練)をするのはなかなか並大抵の事ではない。コツとしては、「道具をすぐ使える状態にしておく事」が役に立つだろうか。いちいち準備が必要だと億劫になるので、傾斜台やらペンやらインクやらを、席に着けばすぐ使える状態にしておくといいだろう。それでもホコリを被る可能性は大だが、どのみち教室に通ったとしても、それだけではうまくはならない。週一で2時間やるよりは、毎日20分やる方が上達の速度は早いので、うまくなりたければ自習時間は必須である。

最初はとにかくつまらない。見本の流麗なイタリックなど書けるはずもなく、自分の下手さに嘆かわしくなるばかりである。しかしそれを乗り越えねば、永久に上達は望めない。そのつまらない時期(約20時間?)を果たして耐えられるかどうかが最大の壁である。

あとカリグラフィーにはもうひとつ、「外国語」という壁がある。ハッキリ言って、これはもうただただ頑張るしかない(笑)。私自身、英語はカタコトである。その程度の語学力でも、結局はまぁ図版の情報の方が重要なので、洋書もガンガン購入している。慣れれば必要な事ぐらいは解るようになるので、諦めずに頑張る事。本を読む際は、いちいちパソコンで翻訳するのもめんどいので、電子辞書の購入をオススメする。

ネガティブ情報だけだとアレなので希望的な事を申し上げると、世界的に有名なタイプデザイナーでありカリグラファーであるドイツの Hermann Zapf 氏は独学だそうである。例の Edward Johnston の Writing, Illuminating and Lettering と、Rudolf Koch の Das Schreiben als Kunstfertigkeit を参考に学んだそうだ。ただし、何年も誤ったペンの使い方をしていた事を後で知ったとの事で、やはり師匠はいた方がいいではある。でも最近は書いてる様子を YouTube などで見られるし、その辺の事もクリアにはなって来た。確か小林章さんは、情報源がちょっと探せなかったが、「持論だけど優秀なタイプデザイナーは独学が多い」と何かで書いていた(小林さん自身タイプデザインは独学だそうである)。異分野だが、世界的建築家の安藤忠雄も独学というのは有名である。ただし建築士の受験資格は、専門教育を受けていない場合は7年もの実務経験が必要になるので、学校へ通った方が断然オトクではある(笑)。

色々と厳しいことも書いたが、私自身、まだまだ発展途上中。皆さん、一緒に頑張りましょう。

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