(社)全日本シーエム放送連盟(ACC)という団体がある。詳細はサイトを参照して欲しいが、毎年『ACC CM FESTIVAL』というのを開催しており、賞を授与し、またその受賞作品を全国を回って公開している。広告・デザイン業界では沖縄にまで回ってきてくれる数少ないもののひとつだ。昨日そのCM FESTIVALが、これまた幸運な事に私の事務所から徒歩5分の所で行われたので、見に行った(実は毎年同じ場所でやっているが、平日ということもありここ数年はご無沙汰だった)。

テレビ部門とラジオ部門があり、どちらも受賞作品は爆笑ものか感動ものに二分される。今年の大賞はテレビ部門が感動ものの極み、マクセルの『ずっとずっと。』。昨年度休校になった、全校生徒3名の鹿児島・新留小学校、その最後の7日間を追ったドキュメントである。これは沖縄でも初回ぐらいは流れてたと思うが、結末が気になっていた(実はネットでは見れてた…)。審査員の間では、アイデアをひねって虚構の世界を描き訴求する広告業界にあって、「ドキュメントを大賞にしていいのか」と最後まで議論になったが、ほぼ満場一致となったそうだ。また毎年、審査の後で「あれでよかったのかな」と話が出るそうだが、今年は「やっぱりあれでよかった」と皆納得したらしい。やっぱり子供にはかなわないという所か。

ほか金賞には、アディダス『IMPOSSIBLE IS NOTHING』日本医師会リクルート『山田悠子の就職活動』などがあった。リクルートはただただ笑えるが、アディダスは、スーパースターたちも、最初からスターではなかった事、スターとなってからも多くの挫折があった事を教えてくれる。日本医師会の学校保健編などは、昨今の子供たちを思うと胸を締め付けられる思いがする。

中でも印象に残ったのは、資生堂の企業広告だ。これは1960年代に大活躍をし、「嘘をついてもばれるものです」という遺書を残して37歳で自殺した伝説のCMディレクター・杉山登志の人生を追った『メッセージ』というTVドラマの中で1日だけ流されたCMである。実は私はこのドラマを観ようと思って見逃してしまったのだが、直後にネットでこのCMと歌がかなり話題になっていた。それで観て知ってはいたのだが、やはり改めていいCMだなぁと思う。この歌の詩を書いた中島信也という人は、見た目はどう見てもタコ坊主だが(失礼)、こんな人からこんな繊細な詩が出るのかとびっくりする思いだ。最近CM絵コンテ集も出版された。

広告というのは、紙にせよテレビにせよ、扱いはぞんざいだ。CMはトイレタイムに使われ、チラシは鳥カゴの下敷きにされる。しかし、これナシにテレビも雑誌も新聞も成り立たない。この掲載費でもってそれらは作られているからだ。なくてはならないが邪魔なもの。それでも作り手達は、人や企業の思いをどうにかして広く深く伝えようと必死で、邪魔にされないよう必死である。

どーでもいい広告は今まで通り邪険に扱ってまったく構わないが、心に引っかかるものが少しでもあったならば、どうか少し目をとめて、「ほぅ」と思っていただければ幸いである。

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