さて、こちらで言及している通り、カリグラフィの勉強をまた始めている。10年ぶりのペンの感触を楽しみながら、ゴリゴリとGothicの小文字をひたすら書く日々である。普通カリグラフィというとItalicから入るものであるが、腕を動かさないと書けないほど長いストロークがへにょへにょになってしまう私は(Italic小文字の f なんてムリ!)、とりあえず手首を動かすだけで済む短いストロークだらけのGothicから始めることにした(情けない)。

以前からテキストだけは集めている(笑)のだが、最近入手した Alphabet Stories を読んでいると、Zapf氏がカリグラフィを学ぶ際に参考にした本が2冊紹介されていた(ちなみにZapf氏は独学らしい)。1冊はカリグラフィを学ぶ者なら誰もがご存じ、バイブルとも称されるほどの名著、Edward JohnstonWriting & Illuminating & Lettering だ。しかしこの本、肝心の書き方についてはちょろっと書いてあるだけで、あとはレイアウトやマージンの取り方、装飾(illumination)の描き方や飾り大文字(versal)のレタリングの方法などにページが割かれている。まぁよく考えたらペンの持ち方とストロークの書き方を説明したら、あとは見本見て書けとしか言いようがない(笑)。ので仕方ないと言えばそうなのだが、ちょっと拍子抜けである。さらにはZapf氏の作品を見慣れた目では、「そない上手かねぇな」という気すらする(恐れ知らず?)。ちなみにこの本の初版は1906年ともう100年も前の古い本だが、いまだに出版され続ける本である。一番最近のは1995年のDoverのものだが、残念ながら現在は絶版。だがまたいずれ出版されるんじゃないかと思う。

でもう1冊が、Locarno (Koch Antiqua)Neulandの作者、Rudolf KochDas Schreiben als Kunstfertigkeit である。これもまた1921年初版と古い本だが、古本屋を探せばそこそこ見つかる。こちらタイトルを見れば判る通りドイツ語で、英語版がないか探したが見つからなかったので、仕方なく原書を注文した。

届きました。

読めません(当たり前だ)。

タダでさえドイツ語は読めないのに、さらにはドイツ文字とも呼ばれる独特の Fraktur で組まれているので、やっかいな事この上ない(どうせ読めんが)。Zapf氏の作品ばかり見てたので、他の人の作品も見たいなーという気持ちから買った、つまり最初から図版目当てなのでいいんだけれど。ちなみにKochの書体は、嘉瑞工房を興した井上嘉瑞氏のお気に入りだったようで、氏の作品中にしばしばKochの書体を見かける。第一人者のお眼鏡にかなう書体のデザイナーだけあって、カリグラフィもやはりうまい。

名人が学んだ教科書を揃えたからと言って、名人と同じ腕前になれるとは限らない。というかなれない事の方が圧倒的に多いが、根っからのミーハーである私は、名人が持っているものなら欲しくなるのだ(結構広告には騙される方ですハイ)。ま、せいぜい本棚の肥やしにせぬよう、がんばってみようと思う。

明日やろうは馬鹿野郎だ!(by 夏八木)

MVB Sirenne
この書体は MVB Sirenne — 欧文フォント買うなら MyFonts