祝50回

いきなりなんぢゃこらと思った方も多いだろうが、別に世界一の探偵を気取ってキラを追いかけたりしているワケではない。実はこのブログが、なんと本稿にて50本目と相成った。それを記念して、ローマ数字で“50”を表す“L”で祝ってみただけである。ブラックレターになったのは偶然だ(ウソこけ)。

さて、LinotypeよりTypeface Catalog A–Zという書体見本帳が発行された。$16という破格の値段であるが、日本への送料がこれまた逆の意味で破格の$30。しかしそんなことでひるむ私ではなく、ちゃっちゃと注文してすでに手元にある(そうだよアホだよ)。ちなみにこの時、サイトにアクセスするたび勝手にカートに書体が追加され続けるという不具合があり、カートの中身が170を超えたところで「もはや打つ手ナシ!」と思い「たぁすけて?」とメールを送った所、すぐに対処してくれ、しかも“We are very sorry and apologize”と謝ってくれた。小林章さんの「ドイツと日本」によれば「ドイツ人は謝らない」との事だが、小林さんの精神が行き届いているのか何なのか、Linotypeの人は謝るようだ(笑)。

こういう本は、届くと本当に「ひゃっほう」という感じがする。嬉々としてただひたすら意味のない文字の羅列をなめるように眺めている姿は、ハタから見たらかなり奇妙だろう。実際「うひひひひ」と奇声を発しながら本を見ているヤツがいたら、私でも即通報する。しかし欧文書体の見本帳を見る度、いつも疑問に思うことがある。

それは、メーカーと書体の関係である。例えば、

というのがあるが、えーっと、

何がどうやねん。

いや確かにビミョーに違うし、ファミリー展開も違うのだが、これはどちらかを単体で出されたら、どっちがどっちだかほとんど区別がつかないし、何よりビミョーに違える意味が解らない。しかも“ITC”の名が付いてはいるが、前者はAdobeが作ってるようで、後者はITCだ。そして両方ともLinotypeより発売されてる。Bitstreamなんかはいろんな書体を別名で、例えばHelveticaを “Swiss 721”とか名付けて販売したりしている。さっぱりワケがわからん。そもそも、

“ITC”って付いてるのに、さらに“by ITC”と付ける意味がワカラン

日本の書体メーカーがこのような事をすることはまずない。例えばモリサワに『新ゴ』という書体があるが、“DF新ゴ”とかいうバージョンの新ゴをダイナコムウェアが開発し、それをフォントワークスが販売することなどあり得ないのだ。大日本スクリーンの書体を字游工房が開発したりしているが、これは開発委託であり、字游工房自体にヒラギノの販売権はないようだ。しかし欧米では、このようなことが普通にまかり通っている。

“Bodoni”や“Garamond”といった、一般名詞に近い、著作権などとっくに消滅している書体なら解らなくもない。しかし、まだ生きてる近代のデザイナーの書体が、あちこちで色んなバージョンを派生させているのだ。しかも違法コピーではないというのだからややこしい。使う側としては質の良い一本に絞ってくれた方がはるかに使い勝手が良くて助かるのだが、そんな事はおかまいナシ! 知るかボケ! という感じである。

これは一体どういうことなのだろう。誰もが必ず一度は疑問に思ったと思うが、私はこの事について書かれた本をついぞ見たことがない。もとより書体の良し悪しには全然関係がないので誰も取り上げないのかも知れないが、私はこれが気になって仕方がない。オトナの事情がたくさん発生しているような気がするが、どなたかご存じの方はこっそり教えて欲しい。

Big New Sign
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