東京・文京区に印刷博物館という所がある。凸版印刷が自社ビル内に設置しているものだが、その資料、展示ディスプレイなど、「これがいち企業のやることなのか」と圧倒されるほどの充実した内容の博物館である。何しろこのビルがシャレならんほどデカい。これが本社ではないというのだから、本社はどうなっとんのぢゃという感じである。

毎年その印刷博物館において、『ドイツの最も美しい本展(Die schönsten deutschen Bücher)』というのが開催されている。これはドイツ本国で行われたヤツの言うなれば巡回展であるが、かわいそうに、直接行けない私は、カタログだけは毎年取り寄せている。本のデザインを見るのはもちろん楽しみではあるのだが、それよりも私はそのカタログに載っている造本仕様表の方が楽しみなのである。

その表にはサイズはもちろん、使用している紙や組版ソフト、そして使用書体等も掲載されている。CaslonやGaramond等、おなじみの書体ももちろんあるが、日本ではあまり聞かないようなものが多数使用されており、本場の事情を知ることのできる良い資料なのである。私が聞いたことがない書体をざっと以下にリストする。

聞いたことがない書体の方が圧倒的に多いという、不勉強極まりないザマである。Emigreの書体などは見本帳を見ているはずだが、ちっとも頭に入っていないようだ。リンクが張られていない書体は見つけることができなかったもので、「これじゃないか」という情報は大歓迎である。それにしてもこのリストを見ると、小さなタイプファウンダリーの台頭が目立つ。省略の多かった今までのデジタルフォントの反省点を踏まえ、本格的な書体が増えてきたのはとても喜ばしいことなのだが、それにつれて金額が上がっていくのはちょっと哀しい(笑)。しかしその苦労を思えばそれでも安いのだろう。

また、本文用書体も随分増えたなと実感する。日本でも見出し用書体に関しては結構色んなものを使っていると思うが、本文書体は相変わらずあまり変化がないように思える。いつまでもこんなことでいいのだろうか。もっと選択肢の幅を広げるべきだと思う。日本でもよく知られているものでも、

等はよく使用されているようなので、これら辺りから始めてみるのはいかがだろうか。もちろんCaslonが最適なケースならそれを使用すべきだが、選択肢だけは多く持っておきたい。

カタログは印刷博物館にて販売しているが、通販にも応じてくれる(電話受付のみ)。1,500円程度なので、興味のある方は購入してみて欲しい。『ドイツの最も美しい本展』のカタログなのに、表紙が取れやすかったりするのはご愛敬だ(笑)。

※追記:Helenaは、名前からしてギリシャ文字かも…。
※Monotype Romulusはおそらく活版で、デジタルで復刻してるのはDutch Type LibraryDTL Romulusではないかとの情報をタイププロジェクトの岡野さんからいただいた。岡野さんありがとう。
※Salwaは、アラビア語フォントみたいです…。
※Thieme ArgoOneは、使用されていたのがThiemeという出版社の本だったので、ここに特化されたDTL Argoかも知れません。

Swish
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