お世話になった皆様、これからお世話になる皆様、その他大勢の皆様(失礼)あけましておめでとうございます。

今年初めてマトモに年賀状を作って送った。大変な方々にもお会いできたし、こう書いたからには実行せねばならないと思い、色々思い悩んだあげくできたのが、トップページにデカデカと表示されるコレである。

モチーフがなんだかよく解らないだろうが、これは犬の形をした錠前である。つい先日、とある骨董市にて、私と同年代の商売ベタな(笑)中国(台湾?)人の骨董屋から買い入れたものだ。なんと足と口が動くという妙に凝ったもので、一目惚れして買おうか買うまいかあれこれいじっていると、300円負けてくれた。なぜか鍵には魚が付いており、何か謂われがあるのかと思ったが、ナゾのままの方が面白いと思いあえて訊かなかった。結構時代は付いてるが、まぁそんなに古いモノではないと思う。

「あっこりゃいいや。年賀状に使おう」と思い、早速写真に撮ってみたが、どうにもやっぱりヘタクソである。仕方がないのでモノクロにし、フィルタをかけるとなかなかいい味が出た。さてこれに合う書体は何だろうと考えたが、モノクロで銅板風味が出ているので、芸がないが銅板系の書体を選ぶことにした。ちなみにこういった社交用印刷物には基本ルールがある。Erik Spiekermann & E. M. Ginger著『Stop Stealing Sheep & find out how type works』にある記述をまとめると、

  1. 銅板系の書体を使い
  2. センター揃えで
  3. ジャンプ率は低めに
  4. 余白はたっぷりと

となる。しかしこれはあくまでも『基本』で、これらを守った時にできるデザインの『雰囲気』の方がはるかに重要である。つまりこの雰囲気を出せさえすれば、基本ルールは無視して良い。Helveticaでもいいし、センター揃えでなくても構わないのだ。ただしジャンプ率を高くすると上品な感じは出にくいので、これは守った方が良いかも知れない。が、それも腕でカバーできるのなら破るのも結構だ。世の中「この書体を使うべきだ」に囚われる人が多く、それさえ使えば○○用のデザインができると勘違いしたりするが、それは違う。その昔、原弘らが欧米のデザイナーを日本へ招いた際、招待状にNews Gothicを使って失笑を買ったという話を何かで読んだが、これも書体が悪いのではなく、ただ招待状の体裁をなしていなかったからだと思われる。構成主義のポスターよろしくやったんじゃないだろうか。『井上嘉瑞と活版印刷・作品編』にはNeulandで組んだパーティチケットの組版例があるが、不向きと思われるNeulandでもちゃんと組めるものだ。

話が逸れた。で、私が選んだのはAlgerianChevalierとか考えていたが探しているウチにこっちがいいやと思い採用した。組んでみるとなかなか良い。でもちょっと淋しいかなとボーダーを探してみたが、あまり似合うモノがない。しかし手元のMonotypeの見本帳に良いのがあったので、自分で作って囲ってみた。モチーフが中国のモノなので、全体が中華風になったのは仕方ない。でも絵とAlgerianだけ見てると、ドイツビールのラベルっぽくも見えるのは不思議だ(笑)。一番下の小さな文字は、Algerianで組むべきではなかったなと反省している。こういう影付きの文字は小さく使うとダメですな。

ちなみに銅板系の書体は、便利なことにMonotypeにてEngravers 1 VolumeEngravers 2 Volumeというパッケージにまとめられている。先にも書いたようにこれらを使えばいいというものでもないが、上品な感じを出したい場合に重宝するので購入しておくのも手だ。

それでは、今年一年が皆様にとって良い年でありますよう。

Caslon 3
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