ブログ女王・眞鍋かをり女史がこんなことを書いていた。しかし職業病というのはプロ意識の現れだと思うし、どんな分野でもプロを目指す者ならば、それが自然と出てしまうことに逆に憧れたりもするものだ。優秀なアートディレクターが、家族と行楽に出かけた先で写真を撮ろうとして職業病が出てしまい、こだわりすぎたためとうとう一枚も撮れずに帰ってきた、という話をある本で読んだが、ここまで行くとちょっとアレである(笑)。しかし周りに迷惑をかけたり、自分の心身に悪影響を及ぼしたり(野球ひじとかね)するものでなければ、良いことなんじゃないかなと思う。

かくいう私もプロを気取るワケじゃないが、街を歩いていてビルの色彩やインテリア、看板の文字なんかをよく気にしたりする。特に好きな欧文は気になり、American Textを大文字だけで組んだTシャツを見て、「ブラックレターは基本的に大文字だけで組むものじゃないが、これはそんなにおかしくないぞ」と思ったり、“D” を鏡像で使ってるロゴを見ては「例えば“で”が裏返ってたら日本人はおかしいと思うだろうに。外人だってそうだぞう」と憤慨したり、Optimaのイタリックで組んだ美しい看板が似合わない書体に改悪されたのを見て「あーあ」と嘆いたりしている。

というわけで、欧文好きの私は沖縄市へ行くのは結構楽しみだ。この街は嘉手納基地が近いためか、終戦直後から米軍相手の商売が盛んで、看板等も欧文で掲げられているものが多い。たいていはデタラメなものだが、空港通りや中央パークアベニューと呼ばれている通り沿いにはそんなにおかしなものはない。Americanaで“AMERICANA”と綴ってあったりするので、多分ネイティブが関わっているのだと思う。

中でも、中央パークアベニューの一番奥、ベスト電器に近い所にある“THE MORRIGAN’S”というアイリッシュパブの看板には驚いた。ここに使われているWeiß Lapidarという書体は、ドイツのEmil Rudolf Weißが1926年に制作したもので(最近になって“Wellsbrook Initials”という名前でフォント化されている)、パブの雰囲気にとてもマッチしていて良い選択だと思うのだが、こんなマイナーな書体(10月30日現在、“Weiß (Weiss) Lapidar”で検索してヒットする日本語ページはここだけである)を選んだのは一体どういう人だろうととても気になった。おかげでこの店が一発で気に入ってしまったくらいである(笑)。

“THE MORRIGAN’S” written in Weiss Lapidar

ちなみにどうでもいいことだが、私は地元の三線は苦手だが、アイルランドやスコットランドの民族音楽は大好きである。今は生演奏してくれてた人が本国へ帰ってしまってもう聴けないらしいのだが、今度はここでぬるいギネスをちびちびやってみたいと思う(飲めないけど)。

P.S. これもどうでもいいことだが、私が一番好きな看板は、那覇の国際通りスターバックスの向かいにある「ぐるくん食堂」のものである。書体、レイアウト、サカナのイラスト、どれをとっても絶妙で、凡手によるものとはとても思えない。近くを通る時はぜひご覧になっていただきたい。

Diecast
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