今回は欧文の記号類について。

• ●■▼など

日本のサイトで英語版を用意している場合があるが、「英語版」なのに見出し等にこういった多バイト文字の記号類を使っている例を時々見かける。当然ながら英語環境では文字化けするので論外だ。とっとと削除して画像にするなり他の欧文記号に置き換えるなりすること。

• &

体育座りに見えることでおなじみのand記号。だいたいの使い方は解っているだろうから詳しい用法は専門書に譲るが、Web上ではそのまま書くのは望ましくない。HTMLで用いられる記号だからだ。本文中に出る場合は&とする。CGI等の引数をURLに埋め込む場合も同様だ。

<a href="http://foo.com/?a=1&b=2"> ×
<a href="http://foo.com/?a=1&amp;b=2">

ちなみに『&の変遷』(『井上嘉瑞と活版印刷・作品編』収録)によれば、これはandと同じ意味のラテン語 “et”(大文字同士・小文字同士の場合あり)の合字で、記号名アンパサンド ampersand とは “and per se, and”(andそれ自体のand)のなまったものだそうだ。昔から書体によって随分様々な形をしているが、単に修飾を楽しんだという説が有力。

• ¥

円記号 ¥ は、キーボードでそのまま打ってはいけない。欧文書体では円記号の部分にバックスラッシュ back slash(\)が割り当てられているので、なんのこっちゃか解らなくなってしまう。円記号を使う場合は&yen;とすること。

\12,345 ×
¥12,345 ○ &yen;

ちなみに、C系のプログラム言語で頻出するエスケープシーケンスの意味での ¥ は、バックスラッシュのままにしておく。

• Dash

数字の範囲を示すのは和文では「?」を使うのが一般的だが、欧文ではダッシュ dash(–)を用いる。よくShift+^で出る記号 ~ (これは何だろう? &tilde;とも違うし&sim;でもないようだ)で代用されているのを見かけるが、これは間違い。ダッシュはハイフン hyphen(-)とも違い、ハイフンよりは長く太さも細い場合が多い。ダッシュにはen dashとem dashがあり、後者の方がさらに長いが、数字の範囲を示す場合はen dashの方を使う。HTML上での出し方は以下の通り。

pp. 1~5×
pp. 1–5&ndash;

ちなみにem dash (—) は&mdash;で出るが、あまり使う機会はないだろう。詳細は専門書で。

• Quotes

Shift+2で出る " やShift+7で出る ' は、欧米では“dumb quotes”(マヌケ引用符)と呼ばれており、これらを使うのは基本的に歓迎されない。欧文書体にはきちんとしたものが従属しているので、基本的にはそれらを使うようにする。HTML上での出し方は以下の通り。

&lsquo;
&rsquo;
&ldquo;
&rdquo;
※アポストロフィには&rsquo;を用いる。

「基本的に」というのは、もちろん例外があるからである。例えばコンピュータプログラムやHTMLのコード等にはdumb quotesが頻出するので、それらはそのままにしておく。ただし " はHTMLで用いられるものなので、誤動作を防ぐために本文中に出る場合は&quot;と書くのが望ましい。

それとは別に、Web特有の悩ましい問題もある。これらの引用符を、翻訳ソフトがちゃんと認識してくれない場合があるのだ。

As nicely expressed in William Strunk Jr. and E. B. White’s Elements of Style, “Typographical usage dictates that the comma be inside the [quotation] marks, though logically it often seems not to belong there” (bibliog. 1.1, p. 36).

—The Chicago Manual of Style

[test] http://fm-studio.jp.org/qtest.html

上の文章をコピー&ペーストして行う「テキスト翻訳」ではおおむね翻訳してくれるようだが、この文章が入っているHTMLファイルをまるごと自動翻訳にかけた場合、引用符やアポストロフィをそれと理解してくれず、なんだか解らない訳され方をする場合がある。試しに[test]のURLを翻訳サイトなどに入力し、翻訳してみて欲しい。妙な結果になるはずである。翻訳サイトのリストは以下のページにある。

こうなってくると、サーチエンジン等での扱いもどうなってるのかちょっと悩ましい所である。

このように、Webにおいてはタイポグラフィは単に見た目の問題ではなく、「データ」としてのテキストの扱いにも関わってくるため、そのサイトの目的に合わせて使い分けて欲しい。

Filipina
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