私の生まれた1972年は、日本を揺るがす大きな事件があった。あさま山荘事件である。もう30年以上も前の事件だが、最近になって映画化もされているので、この事件そのものについては他に譲る。

日本中の人々が連日テレビに釘付けになったこの事件だが、他方でおもしろい効果を生みだした。その一つが、徹夜で現場に詰める機動隊員たちが食べていたものである。彼らは、何か見慣れないものを食べている。アレは何だ? とテレビを見ている人々が疑問に思った。それがかのカップヌードルだ。当時知名度が低く、まったく売れていなかったそうだが、この事件をきっかけに爆発的に売れ出したそうだ。

さてこのカップヌードル、もとい販売元の日清だが、最近躍起になってCMで平和を訴え続けている。『NO BORDER』をテーマに掲げ、満開の花畑にたたずむ朽ちた戦車や、機関銃を持って海を見つめる少年兵の映像に、『♪傷つけあうためじゃなく 僕らは出会ったって言い切れるかな...』とMr. Childrenの歌が重なる。とても胸を打つCMである。しかしなぜこうまで平和を訴えているのだろう。もちろん911やそれに続くアフガン、イラクでの戦闘があり、世界中がキナ臭くなっているからだろうが、それにしてもなぜ日清なのだろう。

それについては、ちょっと心当たりがある。単に私の憶測なのだが、朝日広告賞がきっかけになっているのではないだろうか。この賞は毎日広告デザイン賞読売広告大賞と並び、若手の登竜門となっている広告賞なのだが、2003年度の朝日広告賞受賞作品が以下のものである。

カップヌードルおなじみのキャタピラ柄に、あの独特の書体で「世界の非常食になりませんように」と訴えるこの広告。これがおそらく、日清の心を打ったのだと思う。あさま山荘できっかけを得たこともあって、平和を訴えずにはいられなくなったのかも知れない(これらはすべて私の憶測である)。

本日6月23日は、沖縄では「慰霊の日」として、日本では唯一の県条例による公休日となっている。1945年のこの日、日本陸軍司令牛島中将が自決し、アメリカによる占領が始まった。事実上、日本軍が壊滅した沖縄戦の終了日だ。

私が生まれた1972年は、ちょうど沖縄が日本に返還された年でもある。
戦後60年のこの日、日清とともに平和を祈ろうと思う。

※少年兵編のCFが「戦争を美化していると誤解される」という指摘を受け、放映中止に追い込まれていたそうだ。何をどう解釈すればそうなるのか理解できないが、しかし私はその考えを認めたい。なぜなら、理解できないものを排除しようとする考え方が戦争を産むのだと思うから。理解はできなくとも、受け入れる寛容さを持って欲しい。クレームを付けた人たちも、その辺りに気づいていてくれればと願うばかりである。(11/10追記)

Penna
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